実は彼、ユーレイでして。
15分後。





「…と、いうワケ。ここまで分かった?」

「1ミリも分かんない」






「ほらァ!!だから言ったじゃん!唯じゃ分かんないって!つまんないって!」






雫が天井を仰いでぎゃあぎゃあわめき出した。






──雫の話を黙って15分。とりあえずは何も口を挟まず、聞いていた。







──あたしの理解力が足りない、それもある。






ただ、もう、なんていうか。






「あまりにそれらし過ぎて…気持ち悪い」


「それらしいもなにも、本当なんだってば!」





理解できているか、と聞かれれば、頭では理屈は分かった。






ただ、あたしの中の「常識」が、ついていかない。






そんな感じだった。






「あーぁ、だから言いたくなかったんだよ。言ったって信じて貰えるわけないもんなァ」






頬をぷうっと膨らませて、愚痴をこぼす雫。






「俺だって生きてるときにそんな説明されたら困惑するし、信じねぇもん、絶対」







ちょっと落ち込んだ様子の雫に、妙な可愛らしさを感じて、あたしはクスリと笑った。






「コラ、説明させといて笑うってなによ」

「あはは。ごめんごめん。まぁ、そうだなァ、雫が嘘言ってるようには見えないし。信じることにする」





「信じてもらわなきゃ教えた甲斐がないよ」

「信じるって言ってるでしょ。まずはそれを信じなきゃ、どうせその先の話も信じられないし」





そうなのだ。今の話は、いわば全ての前提。





嘘だろうが真実だろうが、信じなければ始まらない。まずはソレを信じなければ、そもそも雫の存在を信じられない。






「まだ話さなきゃダメ?」

「ダメ」






「俺がしゃべるたびに唯が『絶対嘘だろソレ…』って顔するの、結構傷付くんですけど」

「そういう顔しないように努力するから」








「はぁ~…よりによってなんで唯が『見える』人なんだよ…割に合わないなァ」

「ワケ分かんないこと言ってないで、続き話して」





「ハイハイ…」






注いであげた二杯目のお茶をちびちび飲みながら、雫が再び口を開く。





ユーレイの実情、その仕組み。
雫が「休憩所」と呼んでいる、「あの世」の驚くべきシステムについて。
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