小さな恋のうた
「いえ、その……
琥珀様はいつもお一人なので……」

それに、琥珀様の部屋だけ
本館じゃなくて離れにあるんですか?

後の言葉は、心の中で言った。
なんか、今は言ってはいけない
気がしたから……

「…………」

だからなんだ?
そもそも「寂しい」などという感情は
俺にはないのだ。
李家の当主としてなるべく、
幼い頃から感情を
抑えるように教育されてきた。
この生活を始めてから母上に姉上にも
会っていないが、
寂しいなどと思ったことはない。
だか、それを改めて
他人に指摘されるのは
あまり気持ちがいいものではなかった。



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