小さな恋のうた
チリリ~ン そこまで考えた時、琥珀の指は再びメイ ドの呼び鈴を鳴らしていた。

「お呼びでしょうか。琥珀様」

「愛裕はまだ戻らないのか?」

「はい。まだ戻ってきておりません。
帰りは夕方になると思います」

「そうか。
だったら愛裕に伝えてくれ。戻ってきたらオレのところに来るよ うに」

「はい。承知いたしました」

なんでこんなことを命じたのか琥珀自身 にもわからない。

愛裕を呼んだところで何になるのか。
それもわからない。

ただ、無性に愛裕に会いたい。
愛裕の顔が見たい。
その想いだけがある。

明日まで待つことができそうもない。
まるで母親から引き離された赤子のよう に愛裕を求めている自分がいる。
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