小さな恋のうた
『琥珀様、紅茶が入りました』

『きゃ~~~っ!琥珀様!』

『琥珀様』

『琥珀様……』

愛裕の顔が、声が、姿が琥珀の心の中 に浮んでは消える。

本当に……どうしたんだ……俺……

それを寂しいと言うのは
必死になって否定した。
李家の当主は強くなければならない。

そんな弱い気持ちなどあってはならな い。 自分が愛裕を気にしている、
気持ちはさらに強く否定した。

偉大な李家の当主たる自分が、
此処で雇われた餌を気にするなどあり得な い。
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