小さな恋のうた
律が立ち去ると琥珀は椅子に深く腰掛け て固まった。
そのまま身動ぎひとつしない。
胸の奥では恐ろしいまでの憎悪が荒れ
狂っているが、それとは対照的に頭の中 は冷え切っている。
遠見の鏡を叩き割った拳の痛みも、滴り 落ちる血も全く気にならない。

もうなんの躊躇いも無い。
今日こそあの少女を汚す。
この世に生を受けたことを後悔するほど に悲惨な目にあわせてやる。
あの男の前で二度と笑顔を見せることが できないようにしてやる・・・
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