小さな恋のうた
愛裕は思わず紫苑を見た。
琥珀はうっとした表情で本当だと物語っていた。

「っ……」

「ねぇ、あの子は誰なの?」

琥珀が何か言おうとした時、紫苑が琥珀をはなして愛裕を見て言った。

「まだ言ってなかったな……こいつはおれの専属のメイドの愛裕だ。」

琥珀は愛裕を見ながら言った。
その表情はとても優しい。

「で、愛裕。こいつがおれのいとこの紫苑だ。」

「よろしくね!!愛裕」

紫苑が笑顔で言ってきた。こちらが思わずみ惚れそうなほど、裏表が絶対にない笑顔で。
紫苑は右側に髪をあつめてひとつに縛っていて、元気で明るく活発そうな美少女。愛裕はそう思った。

そして、知らなかった。
何でも持っていそうな紫苑が一番“愛”を知らないことを。明るい紫苑が“孤独“しか知らないことを……

それを知るのはまた別のお話で。

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