小さな恋のうた
愛裕は、お二人が並ぶと美男美女でまるで絵から切り離されたみたいで、自分なんかよりもお似合いだと思った。
しかし愛裕は知らない。
愛裕は二人に負けないぐらいの美少女だと言うことを…。

雪のように真っ白な肌に咲く紅い唇。ほんのり色付いている頬。そして、溢れ落ちそうなほど大きい翡翠の瞳に長くまつげ。艶やかな黒髪は傷みがなくとても美しい。
いわゆる可愛いに当たる容姿の愛裕は、今でも男共に言い寄られたことも少なくはない。しかし極度の天然&鈍感で全く気付かないのだ。それはこちらが驚くほどに。

「あ、そうだわ!!
3人で外に出掛けない?」

紫苑が突然そう言った。
その瞳は心無しかキラキラと輝いている気がする。

「え、でも、私は……」

愛裕はかなり戸惑った。メイドだからと言うことも勿論あるが、女の子とどこかに行くことが一度もないからだ。

「いいだろ?勉強になるしな」

と琥珀に言われ強制的に行くことになったが。
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