小さな恋のうた
「……どうしよう」

あのあと、泣き腫らした目をなんとか元通りにしてメイドの服に着替えた愛裕が朝の紅茶タイムのために琥珀の部屋に入ろうとしが昨日のこともあり、なかなか入れない。

もう、泣いたりしない。
諦められなくても、心の中でずっと想っていよう。
そう決心したけど……いざとなると戸惑う。

「う~昨日勝手に帰ったこと、琥珀様怒るかな…言い訳なんて出来ないし…つい本音を話しそう…でもでも、やっぱり仕事だもん」

一人で話しているその姿は周りから見ると良く言って不思議な人、悪く言って変人だ。しかし、本人は真剣に話している。まるで戦場に行くかのように覚悟を決め、 琥珀の部屋へと入って行こうとする。
トントン…
「し、失礼します。」

緊張しながら入っていく。その表情はまるでこれから判決を下される罪人のよう。
琥珀様は本を読んでいた。いつもなら、笑顔で迎えてくれていたはずなのに。
やっぱり怒っているのかな……?

「紅茶のお時間です。」

どこか強ばった表情で紅茶を渡す。


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