愛の言葉は囁かない



「あること?」


首を傾げた私に



「うん。


…あのね、結愛ちゃん。






裕貴くんをあまり、困らせないでくれないかな?」




先輩は言いにくそうに、だけどハッキリとそう言った。





「こま、らせる…」


「だって、おかしいでしょ?」



先輩の言ってることは、私には何ひとつ理解出来ないもので。


だけど



「その足…」


先輩が目を向けたのは、私の左足。



「裕貴くんのせいでケガしたって聞いたけど…」


「ち、ちがいます!
これは、ゆう兄ちゃんのせいなんかじゃ…っ」



慌てて訂正する私に、先輩は


「でも、裕貴くんはそう思ってる。
あなたが意識してないだけで…」


じっと、私を見つめて。





「あなたはソレで、裕貴くんを縛りつけてる」




キッパリと、言い放たれたその先輩の言葉に、頭が真っ白になった。



< 19 / 52 >

この作品をシェア

pagetop