愛の言葉は囁かない
「あること?」
首を傾げた私に
「うん。
…あのね、結愛ちゃん。
裕貴くんをあまり、困らせないでくれないかな?」
先輩は言いにくそうに、だけどハッキリとそう言った。
「こま、らせる…」
「だって、おかしいでしょ?」
先輩の言ってることは、私には何ひとつ理解出来ないもので。
だけど
「その足…」
先輩が目を向けたのは、私の左足。
「裕貴くんのせいでケガしたって聞いたけど…」
「ち、ちがいます!
これは、ゆう兄ちゃんのせいなんかじゃ…っ」
慌てて訂正する私に、先輩は
「でも、裕貴くんはそう思ってる。
あなたが意識してないだけで…」
じっと、私を見つめて。
「あなたはソレで、裕貴くんを縛りつけてる」
キッパリと、言い放たれたその先輩の言葉に、頭が真っ白になった。