愛の言葉は囁かない
――――――……
――――…
「結愛、ごめん遅くなって。
帰ろう」
バタバタと慌てた様子でゆう兄ちゃんは、私を教室まで迎えに来た。
「…大丈夫だよ。ゆう兄ちゃん」
ごめん。ごめんね。
ゆう兄ちゃんを見て、とめどなく溢れてくるのは謝罪の気持ち。
ただボーッと過ごす、ゆう兄ちゃんを待つこの時間は、罪悪感に押しつぶされるには充分だった。
ずっと、長い間。
苦しめて、縛りつけて、ごめんね。
何にも気づけない、鈍い子で、ごめんね。
謝らなきゃいけないことが、多すぎるね…