愛の言葉は囁かない
ゆう兄ちゃんは想像していたどれとも違う、困ったような笑顔を浮かべる。
「そりゃ、あんな事故が起こった経緯を考えれば、
自分を責めずにはいられないし、リハビリだって付き合うよ。
でも、もうほとんど結愛は普通に生活出来るんだよ。普通なんだよ。
足は、治ったんだから」
その言葉で、気づく。
そういえばゆう兄ちゃんは、もうずっと足のことには触れていなかった。
笑顔を浮かべたまま、ゆう兄ちゃんは、続ける。
「自分から一緒にいたいと思わなかったら、こんなにずっと一緒にいないよ」