愛の言葉は囁かない
「何のために、県内の学校行くと思ってんだよ」
そう。
裕貴くんは、私の送り迎えや生徒会。いろんなことで忙しかったはずなのに、県内にある国立大学に受かって。
しかも、免許までとる気だとか。
「…すぐ、追いつくから。
待っててね、裕貴くん」
「当たり前でしょ?」
クスクス2人で笑う。
そうだね、裕貴くん。
何も変わらない。
チェーンに通して、首にかけた指輪を服越しに触る。
ずっとずっと、一生。
そばにいる約束の証が、ここにあるんだ…―