愛の言葉は囁かない
そうして、裕貴くんは卒業し、大学1年生に。
私は、高校2年生へと進級した。
桜のトンネル。
春の木漏れ日。
麗らかな春の陽気は、裕貴くんと過ごす時間そのもの。
「気持ちいいね、裕貴くん」
「そうだね。
俺、春が1番好きだな」
「ふふ、知ってる」
顔を上げても目を細める必要のない、優しい光の太陽を見上げる裕貴くんに笑う。
ずっと一緒にいて、全部知ってるよ。
もう何度目の、春だろうね?