愛の言葉は囁かない



原因は、小学校3年生のとき。



「ゆう兄ちゃんっ」



私は優しい裕貴くんのことが大好きで、いつもついて回っていた。



「なあに?結愛」


「遊んでっ」



小学校5年生だった裕貴くんは、そんな私のお願いを聞いてくれた。


周りの男の子たちはみんなサッカーとかしてて、きっと裕貴くんもしたかったのに



「裕貴ー?やんねーの?」


「あぁ、俺はいーよ」



裕貴くんは、私のためにいつも断ってくれていた。




引っ込み思案で、人見知りで、友だちが全然できない私と遊んでくれた。




私はそんな裕貴くんを、“お兄ちゃん”と慕っていた。



毎日、裕貴くんといることが幸せだった。





だけど、あの日…



< 7 / 52 >

この作品をシェア

pagetop