愛の言葉は囁かない
原因は、小学校3年生のとき。
「ゆう兄ちゃんっ」
私は優しい裕貴くんのことが大好きで、いつもついて回っていた。
「なあに?結愛」
「遊んでっ」
小学校5年生だった裕貴くんは、そんな私のお願いを聞いてくれた。
周りの男の子たちはみんなサッカーとかしてて、きっと裕貴くんもしたかったのに
「裕貴ー?やんねーの?」
「あぁ、俺はいーよ」
裕貴くんは、私のためにいつも断ってくれていた。
引っ込み思案で、人見知りで、友だちが全然できない私と遊んでくれた。
私はそんな裕貴くんを、“お兄ちゃん”と慕っていた。
毎日、裕貴くんといることが幸せだった。
だけど、あの日…