愛の言葉は囁かない
「お前うぜーんだよー」
学校から1人で帰ってたとき、私は数人の男の子に公園にひっぱられ、囲まれた。
みんな、知ってる顔だった。
「裕貴を縛りつけてんじゃねーよっ」
この人たちは、ゆう兄ちゃんのお友だちだ…。
何でもできて、性格もいい。
そんなゆう兄ちゃんは、人気者だった。
そんなゆう兄ちゃんが、私の自慢だった。
そんなゆう兄ちゃんが、隣にいることが嬉しかった。
だけど、他の人だってゆう兄ちゃんと遊びたいんだ。
だからゆう兄ちゃんをとっちゃう私は、邪魔だった。
自分よりも全然大きい男の子たち。
怖かった。怖くて怖くて…
だけど
「……て、…もん」
「あ?」
「しばりつけて、ないもん…」
震える声で、言い返した。
本当はわかってたけど。
そう、思いたかったから。