人間ゲーム
【第2章】家
「ただいま‥、って誰もいないんだけどな。」
少し大きめな独り言が、家の中で冷たく響いた。
そんな事を気にもせず、玄関で靴を脱ぐ。
オレは一人暮らしをするのに不自由がないほど、広い家に一人で住んでいる。
両親はいつの間にか消えてしまった。
兄弟は‥、一人っ子だったはずだ。
お金は親戚にもらったり、アルバイトをしてなんとかやりくりしている。
親戚に家族の事を聞いてみたが、教えてくれる人は誰もいなかった。
親がいればこんな辛い想いをしなくてもすんだのだろうが、いない人を今更どうこうしようとは思わない。
思ったとしても出来ない。
「ふぅ。」
転校するとあの場で言ってしまったものの、これからどうするか‥。
正直、これからのことを何一つ考えていない。
ただゲームが出来ればそれでいい。
あ、そういえば私立の入学届けがあったっけ?
そう思いながらオレの部屋へ行き、棚に置いているはずの私立の入学届けをさがす。
「良かった、あった。」
自信がなかったが、あって良かった。
ニャー。
「ん?‥あぁ、ショコラがいたな。」
黒い猫のショコラは唯一のオレの家族。
歳はわからないが、オレが物心ついた頃からこの家に住んでいたと思う。
「お腹がすいたのか?飯でも食うか。」
入学届けとパンフレットを持ち、リビングへと向かった。
その後をショコラが追う。
リビングにつくと、リビングの机の上に入学届けとそのパンフレットを置き、キッチンへ向かう。