人間ゲーム
「え!?兄ちゃん!!?」
広人がオレがいることに気づき、驚いている。
それもそうか、今日初めて私立校に来たんだからな。
広人の声に何人かの部員が、オレの方をチラチラと見る。
なんでチラチラ見るんだよ。
まぁ、とにかく何か話すか‥。
「おぅ、広人!暇だったからちょっと遊びに来た。初めてここに来たなー。」
キョロキョロしながら話すオレ。
現実では初めてだが、夢と全く同じだ。
多分今、オレの目は全くイキイキしていないだろう。
「え?あ、そうなんだ!よく場所がわかったね!」
状況がまだ飲み込めないようで、広人はオレを見て目をパチパチさせている。
「あぁ、パンフレットで確認したしな。広人‥部活楽しいか?」
オレがそう言うと不思議そうな顔をした。
「うん!皆面白いし!!バスケ部に入って本当に良かったよ。」
嬉しそうに話す広人をジッと見つめたが、その言葉が嘘ではないとわかった。
それほど広人の目はキラキラと輝いていた。
そこが夢と同じではないのなら、家族が自殺をする理由がなく、することはないだろう‥。
そしてオレが再びゲームをすることもないはずだ。
微妙に夢と同じって‥。
頭の中に霧がかかったかのように、なぜかモヤモヤする。
広人がイジメられてないんだ。これでスッキリするはずだろ?
どうしてなんだ‥?
「兄ちゃん?どうしたの、険しい顔しちゃってさ。」
「え?あぁ、オレそんな顔してたのか?‥オレここで待ってるから着替えてこい。」
「わかった!じゃあ、急いで着替えてくるから。」
そう言って広人は急いで体育館から出ていった。