人間ゲーム
騒がしかった教室が急に静かになった。
「清川修也です。これからよろしくお願いします。」
オレを凝視する生徒たちを一人ひとり見るように周りを見ながら挨拶をした。
覚悟はしていたが、驚いてしまった。
夢と同じヤツらだ‥‥‥。
「じゃあ、空いてる席に座りなさい。」
嘉藤リイヤ先生が空席を指差しながら言う。
それに無言で頷き、席へ向かった。
今回もあの窓際の席だった。
「こんな時期にな‥‥。」
「うそぉ~。」
あちこちでコソコソと話し合う生徒たち。
何故話し合う必要があるんだ?と不思議には思ったが転校生が来るとこれが定番なのだろうと解釈した。
その後嘉藤リイヤ先生が今日の連絡を言っていたが全く聞く気にもなれずにずっと窓の外を見ていた。
「何も感じねぇーや‥。」
聞こえるか聞こえない程度の声で呟く。
前なら生徒たちが体育をしている姿を見てワクワクしたりしていたのに‥。
まだ生徒が外に出ていないから何も感じていないのは当然だが‥‥。
「‥‥以上で終わり!日直の人は今日職員室に来なくていいわよー、私合コンがあるから。」
合コン行ってるのかよ‥。
オレはため息をついたが、嘉藤リイヤ先生の一言で生徒たちからドッと笑いがでる。
あ、そこは笑うところなのか。
何か‥、新鮮だな。
そんなことを思っていたら、いつの間にか生徒たちが皆立っていた。
ヤベッ!
それに気づき、慌てて立つオレ。
まるでオレがまだ座っていることを知らなかったように皆平然としていた。
「気をつけ!礼!!!」
「ありがとうございました!!」
教室内の騒ぎ声が大きくなり、何人かがオレを見ている。
これから何が起こるか予想がついた。