人間ゲーム
「お前がハイと言えばいいんだ!!」
あぁ、オレは何のためにここへ来たんだろう…。
ハイと言うために来たのか?
いや、違う。
オレがなぜ鳥沢海の家に行ったのかを説明するために来たはずだ。
なのに今オレは犯罪者だと疑われている。
いっそ、ゲームの存在を言おうか……。
でも言って信用するか?
そう思っていたとき、部屋の隅から声が聞こえてきた。
「警部、そんな言い方。完璧に脅しじゃないッスか~。訴えられても知らないッスよ。」
その一言で空気がガラッと変わった。
目の前の男性は、舌打ちをしたが数分して部屋から出してくれた。
もうこのまま、オレがハイと言うまで出れないと思った…。
ある意味恐怖だな。
まぁ、疑うのが仕事らしいし、仕方がないんだけどなぁ。
額の汗を拭って、オレは警察署を出た。
「清川修也君…だっけ??」
オレの後ろの方から声が聞こえてきて、あわてて振り返った。
「あなたは…?」
そこには警察の制服を着ているショートカットの女性が立っていた。
「あれ?気づかなかったッスか?あの部屋にいたんだけどな…。」
あー!!
もしかしてあの時、部屋の隅にいた人か!!
男かと勝手に思ってた。
「あの…、おかげで外に出ることが出来ました。ありがとうございます。」
オレが深々と礼をすると、独特な笑い方で笑い出した。
「ニャハハハ!おかげでって思ったこと言ったまでの事だし、清川修也君ってあまりお礼とか言わないでしょ?ぎこちないッスよ。」
その通りだ、オレはあまり礼を言わない。
なぜか少し恥ずかしくなった。