人間ゲーム
【第15章】リアル第二ゲーム開始
伊藤翔の自宅訪問
案の定、皆心配をしてくれたが今日の出来事を詳しく聞く人はいなかった。
なんとなく聞いてはいけないのだろうと感じ取り、気を利かせてくれたのだ。
その日の夜は難しいことを考えずに、深い眠りにつき今に至る。
今日は翔の家に遊びに行く日だ。
学校の前に集合の予定だったが、翔に家を教えてもらい、そのまま行くことにした。
携帯電話と夏休みの課題、筆記用具をバッグの中へつめて家を出て、その途中でシュークリームを三つ買った。
夏休み中にいっきに老けた気がする。
体力もそうだが、精神的にも疲れてしまった。
そんなことも知るはずもなく、歩いていると向こうから子どもたちが虫取り網をまるで旗のように掲げて走ってきた。
本当に子どもは元気だな…。
今のオレは子どもと大人どちらだろうか?
ある日は子どもだからと言われて。
ある日は大人だろと言われる。
高校生はその中間だ。
そんなことを思っていたら、あっという間に翔の家へたどり着いた。
思っていた以上に家が大きいな…。
妙に緊張をしながらインターフォンのボタンを押す。
するとすぐに翔らしき声が聞こえて、勢いよくドアが開いた。
「おー!久しぶりだな!!」
相変わらずの笑顔で迎えてくれた。
「じゃあ、お邪魔します。」
恐る恐る家の中へ入って行き、翔に指示された部屋へ入った。
「うわ……。」
翔、コイツきっちりし過ぎだろ。
ゴミやホコリ一つない部屋。
何もかもがきっちりとしていて、一目で潔癖症の部屋だとわかる。