人間ゲーム
「ちょっと、何で男の清川が座り込んでるのよ!?このヘタレが。」
声のする方向を見ると、仁王立ちしている川辺あかりがオレを見下ろしていた。
「本当に強いな、川辺は。」
「少なくとも清川よりかはね。」
川辺あかりが伸ばした手を掴み、立ち上がった。
「清川…あの…ありがとう……。」
「礼を言ったのか?まぁ、恩返しみたいなものだ。気にするな。」
オレが少し照れくさそうに笑うと、珍しく川辺あかりも笑っていた。
「えっと…、お取り込み中に申し訳ないんッスけど、今から事情聞くために二人とも警察に行くッスから。」
気づかないうちに天原神がオレたちの隣にいて、少し申し訳なさそうに言う。
「いえいえ!!あの、本当に女性なんですか?」
川辺あかりが言うと天原神はキョトンとした顔をした。
「ニャハハハ、女ッスよ。警察は男が多いッスからナメられないように髪は短いッスけど。」
オレ、あの時言ったんだけどな。
よほど、女であることが信じられなかったのだろう。
本人から直接聞き、相当なダメージを受けていた。
「とりあえず、警察で事情を説明しよう。」
そんなこんなでオレたちの地獄のような人間ゲームが終了した。