人間ゲーム
オレを追う影
「珍しいなー、清川君が遅刻だなんて。」
担任の先生が頭をかきながら、少し笑った。
この学校は遅刻した生徒は教室へ行く前に職員室へ行き、遅刻名簿というノートに、自分の名前を書くようになっている。
それも含めて成績が決められる。
いつも遅くに来ていて、遅刻ギリギリだということを先生は知らない。
だから先生もオレが遅刻だなんて意外だと思ったのだろう。
「すみません、ちょっと寝坊して‥。」
その言葉に嘘偽りがない。
少し床を見ながら、言い訳をした。
「あはは!そうだと思ったよ!寝癖ついてるぞ?」
「え!?」
必死に寝ぐせをなおそうとしたが、どこに寝癖がついてるのかわからなかった。
諦めて、寝癖を探していた手で頭をかく。
「あはは!今日は見逃すよ。」
そんなオレを見て笑う先生。
そんなにオレの行動が面白いのか?
「ありがとうございます!今後気をつけます。では失礼しました。」
少し不満に思ったが、深々と礼をして教室へ急いだ。
まさか寝癖がついていたとはな‥。
まぁ、しょうがないか‥。
短いため息をつきながら、教室のドアを開けた。
「清川遅刻かよ~。」
「わ!寝ぐせついてる!かわいい~。」
昨日の事がまるでなかったかのように、オレに話しかける。
内田幸平に興味がなかったのか?
可哀想にな‥‥。
ま、オレが言っても嘘くさいと思うが‥。