人間ゲーム


「じゃ、オレ帰るから‥。」


「修也君いつも帰るの早いねぇ~!」


急に話しかけてきたのは、あの川辺あかりの双子の姉、川辺ありさだ。


「ん、まぁ。」


「用事でもあるのぉ~?」


用事‥‥か‥。


「いや‥。まぁ、あるのはあるけど。」


嘘ではないよな?


頭の中で自問自答する。


「そーなんだぁ~、バイバ~イ!」


川辺ありさが笑顔で手を振る。


川辺ありさは妹あかりと顔はソックリだが性格は真逆で、あかりが悪魔ならありさは天使と言ったところだろう。


双子は似ると言う話を聞くが、違う場合もあるのか‥。


「あー、またな。」


「おぅ!修也!じゃあ明日課題見せてくれよな~。」


声がする方向を向くと、翔がニヤニヤと笑いながら手を振っていた。


「課題ぐらい自分でやれよ。」


半笑いしながら翔を見ると、翔は違う方向を見ていた。


どこを見ているんだ?


「どうしたのぉ?」


川辺ありさが心配そうな顔でオレを見つめる。


「いや‥、何でもない。」


「良かったぁ~!またねぇ。」


「あぁ。」


歩きながら小さく手を振り、ネコバックを持って教室を出た。


翔‥、さっきどこ向いてたんだろうか?


まぁ、別にいいか‥。


< 41 / 231 >

この作品をシェア

pagetop