人間ゲーム
「じゃ、オレ帰るから‥。」
「修也君いつも帰るの早いねぇ~!」
急に話しかけてきたのは、あの川辺あかりの双子の姉、川辺ありさだ。
「ん、まぁ。」
「用事でもあるのぉ~?」
用事‥‥か‥。
「いや‥。まぁ、あるのはあるけど。」
嘘ではないよな?
頭の中で自問自答する。
「そーなんだぁ~、バイバ~イ!」
川辺ありさが笑顔で手を振る。
川辺ありさは妹あかりと顔はソックリだが性格は真逆で、あかりが悪魔ならありさは天使と言ったところだろう。
双子は似ると言う話を聞くが、違う場合もあるのか‥。
「あー、またな。」
「おぅ!修也!じゃあ明日課題見せてくれよな~。」
声がする方向を向くと、翔がニヤニヤと笑いながら手を振っていた。
「課題ぐらい自分でやれよ。」
半笑いしながら翔を見ると、翔は違う方向を見ていた。
どこを見ているんだ?
「どうしたのぉ?」
川辺ありさが心配そうな顔でオレを見つめる。
「いや‥、何でもない。」
「良かったぁ~!またねぇ。」
「あぁ。」
歩きながら小さく手を振り、ネコバックを持って教室を出た。
翔‥、さっきどこ向いてたんだろうか?
まぁ、別にいいか‥。