人間ゲーム
「よし!」
軽く頬を叩き、気合いをいれて教室へ入る。
やはり教室には誰もいない。
間に合ったか…。
まだ開けていないトランプを、内田幸平のロッカーの中に入れた。
これでよし!
後で誰かに取らせるとしよう。
「あれ?清川君今日早いね。」
え!?
振り返ると、三浦百子がドアの所で立っていた。
手にはあの財布が握られている。
「あ、いや。昨日早寝したから早く起きてしまったんだよ。」
そう言うと、三浦百子は笑顔でそーなんだと言いながら自分の席に座った。
後少し遅かったら三浦百子に見つかるところだった。
変な汗が額ににじむ。
「あ!そうそう!キシのメールみた?今日ババぬきをやるんだってね~。いつだろう?」
「そうだな、今日中にやるからな‥。オレちょっとトイレ行ってくるから。」
「そうなんだ?いってらっしゃい。」
「あぁ。」
教室を出るまではいつもと変わらないように歩き、三浦百子がオレの視界から消えた後、小走りでトイレへと向かった。
しまった‥。
今日ゲームをするとはメールで打っていたが、いつするとは書いてなかった。