人間ゲーム
佐東未来
あの二人が死んでから、もう一週間が経過した。
その言い方は他人事のようにも聞こえるな。
二人を殺してからのほうが正しいだろう。
クラスの雰囲気は、オレが転校して来たときとは違い、作り笑顔を見せていた生徒の笑顔がなくなった。
自分が生き残ることで精一杯になっている。
「お前落ち込んでるのか~?」
自分の席で落ち込んでいるオレの前で、翔がニヤニヤと話しかけてきた。
「あぁ、実は‥。幻の焼きそばパン買えなかった‥。食いたかった。」
「あ~!あの十個限定焼きそばパンか~、修也あれ好きなのか?‥ドンマイ!」
「そう思ってないだろ?」
バレたか、と翔が笑いながら、オレの肩を叩く。
肩を叩く癖、やめてくれねーかな‥。
アザができそうなくらい痛い。
まぁ、そんなことはさておき。
最近、オレに一つだけ楽しみが出来た。
それは幻の焼きそばパンを買うこと。
絶妙にうまい!
食いたかったな‥。
「あ!あのさ、清川。そのパン俺持ってるけどあげようか?好きなんだろ?」
振り返ると、あの幻の焼きそばパンを持っている橋爪悠大の姿があった。
「オレに‥?いいのか?」
悠大は笑いながらどうぞ!と言った。
さすがにタダでもらうのは悪いと思い、お金を払った。
こいつなんかオーラ?が未来に似ている気がする。
顔とかではなく、話しているときの安心感、性格みたいなものが‥。
そういえば未来は元気にしているだろうか。