人間ゲーム
ま、いいか‥。
誰なのかわかったとしても、何かをしようとは思わないし‥。
思ったとしても、やる気すら起きないしな。
「あぁ、ゲームを一度はしてみたい。」
そう小さく呟いて、オレがゲームの主催者になっている姿を想像してみる。
徐々に本性を現して、自分だけが生き残ろうと裏切りあう生徒たち。
想像しただけで、何ともいえない感情で心が満たされていく。
そんな感情に浸っていたら、授業が終えることを知らせるチャイムが遠くから聞こえてきた。
あ、終わったのか。
我に返り、教科書類を片づける。
「じゃあ、終わろうか‥。課題しろよ。」
先生がため息混じりに言う。
その言葉はきっと、生徒たちには届いてないだろう。
「気をつけ!礼!」
「ありがとうございました!!」
その瞬間、いっせいに騒ぎ始める生徒たち。
さっきまで静かだったのが嘘のようだ。
そしてドアへ向かう先生を見ると、フゥとため息をつきながら、疲れたような顔をしていた。
あの先生、いつもため息ついてるな。
きっとあの先生も、自分の授業がつまらないということはわかっているのだろう。
授業終わりにため息をしているぐらいだもんな。
まぁ、オレも人のことは言えないが。
だがなぜそれでも自分を変え、もう少し工夫した授業をしようと思わないのか、オレには理解が出来ない‥。
いや、思っていても変えられないのか?
やっぱり命をかけて何かをしないと変わらないよな‥。