赤の贖罪
「…………あ……?」
咄嗟に事態を理解できなかった私は、マジマジとそれを見つめた。
大きさは、決して大きくはない。形はまるで紅葉のよう。
そう、それは例えるなら、まるで赤ちゃんの手形のような……
ぺたぺたっ、
呆然と見つめる画面の中で、ひとつ、ふたつとそれは増えていく。
一つ一つ、形も色も大きさも違うそれらは瞬く間に写真を『赤』で埋め尽くすと、そのまま写真の外へ少しずつ広がり始めた。
「……あ……あ………」
見開いた目で画面を見つめながら、私は小さな呻き声を漏らした。
痛い程に鳴り響く心臓の音を聞きながら、制服を掴む手に力をこめる。
その間にも、可愛らしいキャラクターが、明るい色使いだったブログの記事が、鮮やかな赤色に蹂躙されていく。
ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた!!!!
凄まじい勢いで増していくソレが、画面を『赤』で染め上げる。
まるで、無邪気な子供がパソコンの――いや、写真の内側からこちらの画面を叩いているような、そんな音が頭蓋に響く。
そして、パソコンの画面が全て赤に染められる直前。
我に返った私は、少しだけ残っていたデスクトップの色を見て――