赤の贖罪
一週間前:7月15日
ほの暗い闇の中、女の人の泣き叫ぶ声が聞こえた。
その声がどこかお母さんに似ている気がして、私は思わずその声に問いかける。
『……コ、この子は、あの人との大切な……!』
――どうしたの?
『……めて、……さ…いで……』
――なんで泣いているの?
『こないで……いや……!』
――ねぇ、
『ころさないでぇぇええええええ!!』
「――ッ!」
その絶叫を聞いた瞬間、私は目を見開いてガバリと起き上った。
肩を上下させながら荒い息を整えつつ周囲を見回せば、そこはいつもの自分の部屋だった。
すでに太陽が昇っているのか、カーテンの隙間からは穏やかな光が差し込んでいる。
さらに、自分がパジャマ姿であること、今いる場所がベッドの上だと確認した私は――
「なぁんだ、夢かぁ……」
安堵の溜息を吐きだしつつ、もう一度ベッドの上へと力なく倒れこんだ。