赤の贖罪
老いさらばえた体には体力なんて無いに等しく、力の入らない足腰はガクガクと震えるけれど。
(立ち止まる、訳には……!)
息切れしながら、それでも一歩ずつ進んでいく。
……やがて、朽ち果てた廃村の影が視界に現れた瞬間、私は口元が綻ぶのを抑えられなかった。
(あぁ、やっと…やっと……)
精根尽き果てた体から力が抜け、私の身体は無様に地面へと投げ出される。
それでも、それでも。
(私、やっと死ねるのね……)
あの日から死ぬ事ばかりを考えていた私にとって、今日という日が訪れたのは本当に嬉しい事で。