【完】もう一度、音を愛す。







最初の数小節で限界だった。


指が体の震えで回らない。


私は鍵盤に指を叩き付けた。



「どうして、どうして!」


不協和音が音楽室に鳴り響く。


何度も何度も叩き付けた。


そのうち私はそんな行為もできなくなった。


久しぶりに
過呼吸が起こったからだ。

吐き気も、頭痛も。







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