【完】もう一度、音を愛す。
最後まで私を心配してくれていたけど
私があまりにも頑固だから
しぶしぶ折れてくれた。
夏休みだから校内に残っている子は
いないようだ。
補習の生徒は昼前に帰るし
部活動の生徒は対策として
集団下校をさせているといっていた。
「あれ?」
玄関について靴を履き替えたとき
女の子がやってきたのが見えた。
多分、上履きからして一年生だろう。
「こんな時間に何してたの?」
「あ、宮坂先輩!」
「私の名前知ってるの?」
後輩と関わったことなんて
一度もない私の名前を。