sound village
「なんか学年はバラつくけど
上手くて有名な奴が20人くらい、
いたみたいで、3人とも
その括りに入ってた。」
ほう…いつの時代にも、
どこの分野にも
そういう人物っているよね。
特別、何かに秀でた人物。
「でもね。後輩の話だと、
そのうち、3割程度が故障した
らしいよ。
高校生とは思えない様な
プレイスタイルだったから、
四肢に過剰な負担が
かかったんだろう…って。
アメリカにいったり、プロや
大学にスカウトされて
進んだ奴らが半数くらい
いたんだって。」
そんなに、うまかったんだ。
「アメリカへ行った奴らは
挫折して帰国した奴が
ほとんどだったみたいって。
あくまでも噂らしいけど、ね。」
「…現実って、厳しいな…」
思わず呟いて、すこし冷めた
おすましが入ったお椀を
口に運ぶ。
丁寧にとられた出汁が
上品な味付けでおいしい。
「その挫折者の1人が…1号…。」
啓太の言葉に手がとまった。
ちゃんとーーー
頑張っていたんだ。
新たな一歩を踏み出す為に
うちの会社に入ったんだね。