sound village
崇高な背中 ** side斐川
会議室に到着し
音村係長の知人らしき男は
早速、俺がお願いした
プロジェクターの調整を
してくれる。
「デバイスを認識してないな。」
彼がチョロチョロっとマウスを
操作すると、今まで真っ暗だった
モニターに、映像が示される。
「パソコン苦手?」
小声で問われ、無言で頷く。
「いいんだよ。一杯いるからさ。
今回の原因はね…」
プロジェクターの設定の仕方や
デバイス設定の仕方を分かり易く
教えてくれる。
「ここまで来たら、あとは
メディア再生と同じだよ。
さてと…」
彼はそういって、
俺たちを見遣る。
「何か僕に用があったんだよね?」
「えっ…っと…」
神島が口ごもる。
…そりゃ、そうだろうな。
いつもの事で、柏木に
圧しきられただけだろう。
神島って…なんで、
バスケの時は強引なのに
コートの外だと
こんなにおひとよしなんだろ…
顔色には出さないように
思考を巡らせている様子
だけれどもーーー
…なんにも 言葉が
浮かんでこないんだろう(笑)