sound village

　


「レンちゃんて、皆や
部下ちゃん達に優しいでしょ？」

俺が出会った時は、係長は
クソみたいな上司の下で
悩まされてたんだよ…と
彼は、眉尻をさげる。


「当時も、仕事なんて
給料分だけ働けばいいって感じの
適当な事いってたんだけどね。

スタジオ入ってても、後輩から
泣きの電話かかってくんのなんて
しょっちゅうだった。」

…想像に容易いな…


「あの人ね。」


彼は眉を潜める。


「部下の盾になるんだよ。
ことごとく。

俺もね、単純なガキだったから
レンちゃんみたいな人と
働きたい…って、熱意を
買ってもらえて、雇用条件枠外で
採用してもらったんだ。」

でも、入社まもなくで
うちが超男社会で、彼女が
女性で役職者である事が
どれほどの事か知ったらしい。

「だからね…誰かに何かを
言われた訳じゃないんだけど…
後々、悔やまないように
周りと同じ卒業条件だけは
最低限欲しいなぁ…って。
始めたけど、俺、バカだから
正直キツイ(笑)」


言葉を、かなり選びながら話す
この男は、隠した覚悟と
信念があるのだと思う。