sound village
負けない男 ** side斐川
その会議はーーー
「いいだろう。
検討を進めて、早急に
テーブルに乗せるようにね。」
会長の一言で
幕を閉じた。
重役を見送り、
二課の課長と口論を勃発させ、
ソイツが部屋を後にして直ぐ、
係長は椅子に崩れる様に座る。
…緊張の糸が
切れたのだろうか。
机に突っ伏し彼女は呟く。
「…眠い…半時間寝かせて。」
ーーーと。
対角線上の会議テーブルには
既に、同じ体勢で寝息をたてる
佐藤課長がいた。
「ーーー係長…あれから…
徹夜したんすでか?」
神島の表情が曇る。
「そんな顔すんな。」
係長がニカッと笑って
神島の髪をクシャッと撫でる。
「…俺のせい…ですよね。」
俯く神島の手を
彼女はギュッと握る。
「これが、柏木くんでも
斐川くんでも、私とテルテルは
こうするつもりだったよ。」
ーーーそういって。
「これから忙しくなるから
皆も手伝ってね。」
彼女は、俺たちの返事を
聞かないまま、眠ってしまった。