sound village
事務所入口付近がザワザワ
している。そろそろ会議が
終わったのだろう。
「たっだいまあ♪」
数人の管理職と一緒に
音村係長が戻ってくる。
女性だからなんだろうか?
この人が居ると、空気が変わる。
そんな風に、誰かを認識した
ことがなかったから
ちょっと自分に驚いてしまう。
「進み具合は、どう?」
彼女が、俺のとなりに立ち
手元に積まれた資料を
パラパラっとめくりながら
確認してくる。
状況の説明と疑問点の確認をして
作業は一旦終了となった。
「さてと、あと15分で出るよ。
3人とも用意してね。」
社用車の鍵を取り出し
帳簿に借用者名と目的地を
記入する彼女の手元を覗きこむ。
「俺、運転しましょうか?」
「ん?いいよぉ。また、今度で。
ありがとう。」
この人は、部下に優しい。