sound village
取引 ** side斐川
昼休みの社屋屋上ーーー
佐藤課長と柏木のヤリトリが
日々うるさく…
なんだかんだ、あの2人は
気が合うのだろう。
喧騒から逃れるべく
時折、俺はここに
息抜きに来るように
なっていた。
先客がいれば
見つからないように
引き返せる
なかなかの場所だ。
そっと扉をすかし
外の様子をうかがう。
灼熱の太陽の下
最近よく顔を合わせる
小柄な男の背中が見えた。
…まぁ…いいか。
アイツなら……
「あと…3枚かぁ…
これでも、大分少な目にして
くれてんだもんなぁ…
…絶対何とかするぞぉ。」
…等と、
財布の札入れを眺めながら
啓太はブツブツ言っている。
数千円なら、給料日まで
貸してやれない事もないが…
…十貸の利子なら。
「金欠か?」
背後から声をかければ
「ぅわああああっ(泣)」
背後に意識がまわらなかったのか
大絶叫が響きわたる。
…ここも、うるさいのか…
「斐川くん(泣)驚かすなよぉっ」
等と、ボヤきながらも
慌てて財布をポケットにしまう。