sound village
…俺たちに、売るな…?
なんだそれはーーー
……なにか…あるな…
「じゃあ、啓太。
それ、俺に預けろ。
売ってやる。」
「…はっ?」
「係長が販売を止めたのだろ?
そんな曰く付きの物件、
柏木の耳に入れば
間違いなくカツアゲされるぞ?」
その点、俺なら安心だと
思わないか?と、甘言で誘う。
ーーー柏木がグロ過ぎて
啓太の感覚が麻痺してい
るんだろう。
大概、俺も劣らぬハズなのに
律儀に天秤にかけて悩んでいる。
もう一声か…
口を開きかけた瞬間
「わかった」
チビは何か閃いた様で
「売ったらダメなだけで
あげたらいいんだ」
等とほざく。
…音村係長の事だから
単に金品授受や金銭取引を
制止しただけとは
…思えないのだが…。
「斐川くん。これあげる。
よかったら見に来てね。
いつも勉強教えてくれるから。
調度、何かお礼したかったんだ。」