sound village
コッソリ抜け出し
自販機の商品取出口から
ブラックコーヒーの缶を
取り上げる。
「真琴!!」
声のする方を見れば
「ああ…加奈子…」
元マネ兼元カノの姿…
神島の事を言えたギリではなく
俺も右に同じく元マネと
しばらくつき合ったクチだ。
「久しぶりだね。」
隣いい?…なんて言いながら
俺の返事等待たずして
もう座っている。
「真琴、聞いたよっ
今、何とかっていう有名な
企業に勤めてるんでしょ?
強豪だった神島さんと柏木さんと
同僚だってホント?!」
“強豪”も…クソもない。
単なる“神島”と“柏木”だ。
そもそも…何とかって
何なんだ。
ちょっとは頭を使え。
俺は、バカなオンナは
大嫌いなんだ。
「…だったら…何?」
関わりたくなくて言い放つ。
「…ねぇ…真琴は…
アメリカ、行かなかったの?」
皆行ったんだよねぇ?と
彼女は言う。