sound village
リングを通過したボールが
俺たちの目の前でバウンド
している。
「…すげぇ…」
コートの外からスリーかよ?
「あのオッサン…何者や…?」
そういいながら柏木は
ボールを拾い
観覧席を睨んだままの
斐川に向かいボールを放つ。
キレイな放物線を放ったボールは
「痛っ」
本日、斐川の頭に二回目の
衝撃を加える。
「柏木っ」
…斐川が珍しく逆上しているが…
さっきのはどう考えても、
お前の方が悪いぞ。
「うるさいっ
いい加減にしやんと
ゲーム出ささんぞっ」
そう怒られ、グッと詰まる斐川に
吹き出しそうになる。
感情を内に秘めるタイプと
思っていたけどーーー
案外、直情的なんだろうかーーー
『なあ、そこのキミ。』
頭上から声がふってくる。
見上げれば、いつの間に
こちらサイドに来たのか
超絶スリーを披露した男がいて。
『キミ達が、レンの後輩だね?
早く試合始めなよ。
全試合みてやるから。』
そういってニンマリ笑む。
ーーーこの男……
……何者なんだ?……
ただモノじゃない事だけは
確かだーーーー