sound village


リングを通過したボールが
俺たちの目の前でバウンド
している。


「…すげぇ…」

コートの外からスリーかよ?

「あのオッサン…何者や…?」

そういいながら柏木は
ボールを拾い
観覧席を睨んだままの
斐川に向かいボールを放つ。


キレイな放物線を放ったボールは


「痛っ」


本日、斐川の頭に二回目の
衝撃を加える。

「柏木っ」

…斐川が珍しく逆上しているが…
さっきのはどう考えても、
お前の方が悪いぞ。

「うるさいっ
いい加減にしやんと
ゲーム出ささんぞっ」


そう怒られ、グッと詰まる斐川に
吹き出しそうになる。


感情を内に秘めるタイプと
思っていたけどーーー


案外、直情的なんだろうかーーー


『なあ、そこのキミ。』


頭上から声がふってくる。

見上げれば、いつの間に
こちらサイドに来たのか
超絶スリーを披露した男がいて。


『キミ達が、レンの後輩だね?
早く試合始めなよ。
全試合みてやるから。』


そういってニンマリ笑む。

ーーーこの男……


……何者なんだ?……



ただモノじゃない事だけは
確かだーーーー







< 202 / 625 >

この作品をシェア

pagetop