sound village
『アイツ、始めから見てたけど
相手に最もプレッシャーをかける
動きを選んでやってる。
さっきも、アイツのテクなら
他のシュートも打てたはず。』
ーーーアイツは、わざと
ダンクで決めたんだよーーー
そういって、リヒトは
柏木くんの動きを面白そうに
観察し始めた。
『レン、見ろよ。
“ヒカワ”が、アイツについた。』
ホントだ。
赤のゼッケン…斐川くんだ。
『“ヒカワ”が
アイツの狙いだったんだ。』
リヒトのホリが深くも
和風な雰囲気で、ククッと
喉をならし笑う姿は
どこぞの映画のヒール役の様だ。
『彼らの試合ルールならば
あと二点先取した方が勝ちだ。
アイツら…きっと普通の試合なら
ブザービータで決めるタイプだ。』
キョトンとした私に苦笑しつつも
ブザービータを説明してから
リヒトは預言する。
『余程ハートが強くない限り
ヒカワは、このゲーム…
カシワギに取られるよ。』
『えっ?』
そんな風に見えない。
むしろ、柏木くんのほうが
斐川くんを止めるのに躍起に
見えるのに…