sound village


神島が、バラしたのではない。

それは明白だった。



だって、アイツは
なかったことに
したのだから……


…だとしたら…

あのオトコはーーー


俺が知らず知らずのうちに
何か示してしまった反応や
態度から、察した事になるーーー



それを…いま…

カードに使うとか…


性格に難があるにも
ほどがある。


己の弱さに唇を噛み
加奈子が差し出したタオルに
気づかなかい振りをして
通りすぎる。

本日の同チームのメンバーと
先程の試合での反省点の
確認をしながら、次に備え
体を休める。


「斐川、さっきどうした?
ほんの一瞬、動きが止まったな。」

神島の幼馴染みーーー
誤魔化せたと思ったが…
よく気づいたな…

「すいません…。一瞬
タイミングを狂わせました。」

まさか…脅されました…等とは
いえず、苦しい言い訳をする。


あんな切り札を出された今では

俺が日頃ブザービータ狙いで
あることを、熟知している
柏木の罠だと…

俺に、ワザとマークさせるべく
見覚えのないダンクを披露
したと分かるのだがーーー


まんまと…ハメラレタ…





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