sound village
心音が乱れるーーー
「レ~ンちゃん」
こんなシチュエーションにも
動じない柏木が係長に
声をかける。
『ああっ!3人ともお疲れ様
かっこよかったぞっ』
…係長の口から、ポンポンと
英語らしき言語が飛び出す。
俺には、正確に聞き取れなくて…
『ありがとうございます。』
『もっとホメてよ』
何よりも、言いたいことが
言えない。
これが…海外経験の有無なのか?
1人取り残されている感が
否めない。
『ああ、リヒト、紹介する。
この3人が、さっき話した子達。
左から、柏木陽一郎、神島瞬、
斐川真琴。
皆、彼はーーー』
「レンちゃん。俺、ソイツ
知ってる。
ムコウの元代表やろ。」
柏木が真っ直ぐ相手を見て
口を開く。
「えっ…そうなの?
よく聞いてないな。」
係長が呟きながら、
隣に立つ男を見遣る。
「どんな知り合い方したら
そうなるんや?!」
「…ナンパに
気づかなかったとか…?」
「……」
2人からの…割りと失礼な発言を
気に留めた様子もなく
あの弁護士の友人だという。