sound village
疲労感と、さっきのダメージで
思ったより堪えている。
要らん事は、何一つ言わず
片付けと解散くらいは、
仕切るからと言う神島に甘えて
終了まで、頭を休める事にした。
観覧席に転がり、顔面に
真新しいタオルをかけて
目蓋をとじる。
「ここに、居たんだ。陽一郎。」
俺にカウンター食らわした
張本人の声が、思考を揺さぶる。
「…来んな。女狐…」
このオンナの前やと、
ほんの少しの芝居も打たず
本音を溢してしまう。
「いうじゃないの。若僧。」
…コイツには、毒舌なんて
単なる言葉遊び程度にしか
響かん…
「あの、おねえさん…
あんた達の上司さん…
スゴかったねぇ…。」
タオル越しの額に
何かが置かれる。
「あっちぃっ」
…なんで、このクソ暑いのに
ホットコーヒーやねん…
缶を手に体を起こせば
「ああ、ソレ、あげる。
間違えてボタンおした。」
とか、ゆうけど…
…ホンマは、覚えてるんやろ。
俺が、この缶コーヒーしか
ホットしか飲まへんて。