sound village



「レンちゃんは、やっぱ
バラード上手だねぇ…」


十分な練習時間が
確保できない私を気遣って
真月さんと鷹尾先生が
練習に付き合ってくれての
ひとこと。


「真月、サビのコーラス、
もう一回ちょうだい。
音おかしかったぞ。」

「げっ…ピッチまずった?!
変な音でしあげちゃったら
里奈ちゃんに怒られるよぉ」

この夫婦は、本番でこの曲は
演奏しない。

私のためだけに、時間を割いて
練習してくれていたのだ。

旦那は、プロのギタリストだから
初見でも弾ける人だけど
彼女は、そうではない事を
長年のつきあいの私は知ってる。


このレベルーーー
人前にたてる程度に仕上げるのに

どのくらい、練習してくれたか。

喉をつかってくれたか。


更には、昨日の他にも
透達とのライブをこなす為
その練習もしていたハズだ。


ホントに、頭がさがる。


誰が選んだ曲なのか…
キュートでキラッキラの
ラブソング…


「…ラブソングは
得意なのになぁ…」


思わず漏らした独り言に
鷹尾先生が、こちらに眼差しを
向けてくる。



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