sound village
練習後の恒例の飲み会
「よう、レン。
昨日はリヒトのお守り、
ありがとな♪」
生ビールの入ったグラスを片手に
透が隣に移動してくる。
「こちらこそ。透のお陰だよ。」
昨日のリヒトとの折衝は
なんとかこちらの要望を
通せそうな状況だった。
…恐らくは、いきなり
事業統合に漕ぎ着けるよりは
異業種交流といった体裁の
業務提携から、時間をかけて
進んでいくのだろう。
先方は、アイツが持ち帰ってから
検討を始めるため、来月以降の
回答の見通しだ。
『マコトの英語力あげておいて。
アイツは、絶対つれていく。』
リヒトは、単に斐川くんに
興味があるんだろうが…
あくまでも、本人の意志だ。
駒になんて、しない。
『そんな約束はしない。
でも…確かに、もう少し
コミュニケーションが取れる様に
しておくよ。』
そう答えれば
『今度は、俺が、ちゃんと
見てるから。大丈夫だよ。
俺に任せてよ。』
…等という。
“今度”って…
どういう意味なんだろう。
リヒトは、ごまかして
しまったけれども…