sound village
透を攻める気なんて
更々ない。
リヒトと接点がなければ
あんな企業に正面切って
折衝なんてできなかったし
あのオトコが、曲者なのは
初めから解っていた事だ。
ーーーリヒトはーーー
最初から“斐川真琴”に
当りをつけていたと
いうことだ。
相手の目的が、明確となった今…
…これからは、強気で挑む。
もう、独りで進められる
案件じゃない。
皆と別れ、先に店を出て、
携帯電話の電話帳を検索し
目的の人物を呼び出す。
「休みのところ、ごめん。
今から話がある。」
直ぐに行くと言って
相手は電話を切った。
私の足も、そちらに向かう。
場所なんて打ち合わせなくても
私たちの密談は、いつも
ソコでやってきたのだから。
私はーーーいまはまだ…
“上司である自分”
…を、選ぶ。
この案件が纏まるまでは
絶対…迷わない。
“迷い”は、無駄に誰かを
キズつけるのだから。