sound village
ーーー黄色いライトーーー
逆行でよく見えない観客席は
いつものことだけどーーー
後ろの壁面にもたれ立つ
頭ひとつぬけたシルエットが
見える。
…そーだろ、そーだろ(笑)
君たちほどタッパのある客は
流石に、そういない(笑)
堂野ファンの小娘達に席を取られ
気合い負けしての立ち見といった
所なんだろう(苦笑)
「あ~らあら…小娘達が
嫉妬の眼差しを送って
きやがるぢゃないの」
私たちがマイクスタンドを
調整する姿に、堂野ファンの
微妙な視線が絡み付く。
…まあ、私たちに、直接
文句を言う勇気のある
みあげた根性のファンの子等
出会った事などないけれど。
「レンちゃん、ぶちかまして
おやりなさい。」
先にセッティングを終えた
真月さんが、迫力満載の笑みを
浮かべ真っ直ぐ前を見る。
「おまかせあれ」
最初のラブソングは
…キミを想って歌おう。