sound village
 


「お前も、随分聞き入って
いた様じゃないか。柏木。」

余程好みのジャンルだったのか
リラックスしている奴に
思わず言えば

「まあな。やっぱり知ってる曲が
多かったし、こんだけ上手けりゃ
聞き応え十分やったよ。」

…と、楽しげに言っていて。

俺は、音楽はよくわからないけど
音村係長が出てくると
観客のどこかから、熱狂的な
女子の歓声があがる事に
驚いた1日だった。


「最初は、四時間なんて
モテ余すと思ったけど…
案外、早かったな。」

神島が、シミジミと呟き
ステージに目線を向ける。

「玄人擬き…っつうか…
もっとこう、中途半端に
カッコつけているのかと
思ってたんだけど…“演者”
だったな。ちゃんと見せ方を…」

神島が、言葉半ばで
言葉を区切る。

「…神島?」

不思議に思い声をかければ

「斐川、チビッコ出てるぞ。」

「えっ…?」


思わず、前方に同じく
目線をむけた。




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