sound village



「全員、スタンバイ整った
みたいやな。」


柏木がステージに目を遣り
ポツリといった。


「おいおい…なんか…
テンションっつうの?
気迫がハンパないな。」


神島が若干、空気に圧され気味に
つぶやく。


そうなのだ。


…アソコに立っている
ギター達の雰囲気が、
それはもう、本気なのだと
ビシバシ伝わってきて。



その意味が、良くわからなかった
俺達も、曲が終わる約15分後には
その訳を悟る事となるのだが…



俺たちを含めた一割程を残して
残りの観客は、一同にステージに
被りついている。


「…うわ…圧巻やな(苦笑)」

さすがの柏木も引き気味で
様子を見守っているが…

どうやら俺達の他は、
ギター経験者の様で、
同じく外から、観ているらしく
予想外に解説を聞きながら
鑑賞するかととなった。


“鷹尾夫妻…相変わらず
ムズい入り方するよなぁ。
前よりレベルあげてるよな。”

“ぷっ…やべ。俺、鷹尾先生が
プロポーズした時の打ち上げ
出てたんだよ。思い出した(笑)”

“ああ(笑)聞いたことあるな。
あれ、誰がやらかしたの?(笑)”


“堂野先生と高校生だっけかな?
あ…あの子じゃないか…?
おおっ…大人になってる”

彼が指した人物は
弁護士の隣でギターを弾く啓太で

…あのビジュアル系は
相当周囲に分かりやすく恋愛し
からかわれていたと分かった。



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